【連載:SDGs】求職者が心地良く働ける環境を。採用VRサービスの実態とは

求職者が心地良く働ける環境を。採用VRサービスの実態とは

これまで世界各国はさまざまな施策により経済を発展させてきましたが、人々の暮らしが豊かになってきた一方、労働市場には解決すべき課題が尽きません。
世界銀行のデータによると、絶対的貧困(1日の生活費が1.9米ドル未満)の人口の増加が新型コロナウイルスの影響でさらに加速し、2021年には1.5億人増加すると言われています。

参考:COVID-19 to Add as Many as 150 Million Extreme Poor by 2021

日本も例外ではなく、非正規雇用の増加に伴い、社会的格差や雇用の不安定が問題視されています。例えば、正社員と比べると低賃金で働かざるを得ない雇用状況や、時間外労働・サービス残業などの過酷な労働環境などです。
これらの雇用や労働に関する課題を解決するために掲げられたのが、SDGs8番目の「働きがいも経済成長も」。
すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進するための目標です。
経済を成長させるためは、企業側が安定した雇用を生み出し、合理的な労働環境を提供することが必要不可欠です。
実は、その労働者が安心して働けるための取り組みに、VR技術が大きく貢献しています。
そこで今回は、採用VRサービスに焦点を当てて解説していきます。

経済成長には、企業の人材確保が欠かせない

経済成長のためには、安定した雇用と合理的な労働環境が必須であると前述しましたが、それらを実現するためには、人材の確保が欠かせません。
特に日本の中小企業は、少子高齢化により、思うような人材確保ができないことや、採用しても短期間で退職され定着率に繋がらないことなどを課題に感じています。
選考プロセスにおいて、従来よりもオンラインで完結することが増えたため、効率が良いと感じられる一方、求職者にとっては、実際の働く場をイメージすることが難しいのも事実です。

「職場の雰囲気が合わなかったらどうしよう」
「入社前と全然イメージが違った」

このような経験は誰もが一度は経験したことがあるかもしれません。
これらの解決策として注目されているのがVR採用サービスです。
求職者が心地よく働ける環境を提供するには、採用段階において企業側と求職者側の接点を増やすことだと考えられています。
実際にどのようなVR採用サービスがあるのか見ていきましょう。

企業の魅力づけで志望者をアップさせる「360pict」とは

求職者にとって毎日働く職場がどのような環境であるのか知ることは、企業選びで重要なポイントです。
株式会社Lexiは、企業のオフィスを紹介するツールとして「360pict」を提供しています。
元々は、不動産オーナー向けに利用されていたVRサービスでしたが、選考にあたりオフィス訪問をする機会が少なくなってきた今、360pictの利用範囲が拡大されました。
バーチャル上で企業のオフィスツアーを行い、オンラインでは見えにくいオフィスの雰囲気や従業員の様子などを伝えることができます。
360pictは、企業側と求職者側どちらにとってもメリットがあります。
企業側としてのメリットは、オフィスや会社全体の魅力を最大限に伝え、他企業と差別化できることです。VRオフィスツアーを通して求職者に企業の印象を残し、志望度を向上させることにつながります。
また、VRオフィスツアーを自社のWebサイトに埋め込むことができるため、オフィスツアーのためのスケジュール調整が不要なこともメリットだと言えます。
求職者にとっては、自分が働く場所を具体的にイメージできる点が360pictの魅力だと感じられます。実際に足を運んでオフィスツアーをしてくれる企業もありますが、求職者が好きな時に、リラックスしながらオフィスに訪れられる点においても360pictは非常に有能です。

職場のリアルを体験できる「Guru Job VR」とは

職場のリアルを求職者に体験してもらうことを重要視している株式会社ジョーグリッド。
職場体験型のVR採用サービス「Guru Job VR」を展開しています。
企業の魅力を伝えることも採用においては大切ですが、仕事内容や職場の雰囲気を体験してもらうことが求職者とのミスマッチを減らすことに繋がっていると言います。
Guru Job VRは、重工業の現場や、医療業界・飲食業界を中心としたサービス業界などで積極的に導入されており、職場体験ツアーができる採用VRとして活用されていることが特徴です。
職種によっては、忙しい職場環境や人間関係が厳しいなどと言ったネガティブな固定概念を持たれることがありますが、Guru Job VRで職場を体験してみると、明るくオープンな職場環境や、コミュニケーションが取りやすい人間関係であるなど、新しい発見が生まれます。
職場への気付きが生まれると、それが求職者の興味に変わると言われています。
実際に、VR体験後の面談数は、VR体験のない通常時に比べて1.3倍高い結果となり、求職者の感情を掴むことに繋がっていることが実証されているのです。
大幅なコストをかけずに、効率的に採用プロセスを構築していけるだけでなく、入社後の人材育成まで活用できるGuru Job VRは画期的なサービスだと言えるでしょう。

採用シーンにバーチャルを活用しよう

日本の慢性的な人口減少や、終身雇用が崩壊している背景から、企業の採用の仕組み作りは段々と変化しています。
企業にとって人材と経済成長は密接な関係であるからこそ、求職者への配慮が必要不可欠となっています。
今回紹介した360pictGuru Job VRは、求職者の企業関心やミスマッチの防止を促進させる魅力的な採用VRサービスです。
今後も企業の採用プロセスの一環として、このようなVRサービスが人材確保・育成に貢献していくでしょう。