【連載:SDGs】働く場所でも質の高い教育を。バーチャルの再現性に期待

働く場所でも質の高い教育を。バーチャルの再現性に期待

SDGs4番目の目標「質の高い教育をみんなに」を実現するために、地域や国全体で新しい学びの環境が広がっています。
特にVR技術の発展により、バーチャル・オープンキャンパスでの大学ツアーの開催や、バーチャル教材を学校の授業に取り入れるなど、新しい学びを目にする機会が増えています。
VRの導入により、体験を伴う教育を実現することができるため、学習を効率化させることや、必要なスキルを早期に高めることに期待ができます。
VR教育と聞くと学校教育のイメージが一般的ですが、最近では企業の研修などにもVR技術が取り入れられているのが特徴的です。日本の少子高齢化の実情や先端技術発展の背景から、企業人材をいかに効率良く育てるかというところに課題を持っている企業が多くあります。
そこで今回は、「仕事の教育」に焦点を当てて、バーチャルの高い再現性をテーマに解説していきます。

効率的なVR研修が注目

人材育成の必要性は企業によってさまざまで、生産性の向上や企業理念の理解、実践的技術の取得などが考えられます。
どれも企業の業績向上に貢献するための施策ではありますが、同時に教育体制を確立させる難しさが懸念事項となっています。
そこで近年では、VR研修による教育体制の強化が注目されるようになりました。研修にかかる人材や時間のコスト削減や、より実践的な研修を実現することがメリットとして挙げられます。
ロールプレイングに近い、よりリアルな現場を体感することができるのは、VR研修の大きなメリットだと言えます。

店舗オペレーションを習得。VR社員研修プログラムとは

株式会社ファミリーマートは、VR技術を取り入れた社員研修プログラムを提供している企業の一つです。そこでは、InstaVR株式会社が制作したVRプラットフォーム「Insta VR」を活用し、社員研修プログラムを実施しています。
InstaVRでは、バーチャル空間でトレーナーから業務を学び、付属機器を使って実践することができます。これにより、対面で教わる時間を削減することが可能になりました。
ファミリーマート直営店に配属される新入社員対象のVRプログラム研修では、従来の対面方式の研修プログラムよりも60時間ほどの研修時間の削減に繋がっていると検証されています。
対面方式の研修では、教わる側だけではなく、教える側のスケジュール確保や人件費コストが必要ですが、VRプログラムを用いた研修では、教わる側が一人で学習を進めることができるためです。
InstaVRは、時間的メリット以外にも、コンテンツと機能の質により、人材育成に大きく貢献しています。
企業人材にもグローバル化が進む日本。InstaVRの多言語自動翻訳機能により、多様な言語で学習ができるようなっています。外国人を採用する機会が増えているコンビニ業界では、言語的なサポートは必要不可欠です。
こうした自動翻訳機能を上手く活用することで、研修生一人ひとりにあった学習ニーズに応えられることは非常に魅力的です。
また、InstaVRの遠隔配信システムでは、研修の進捗状況をリアルタイムに把握することができるため、遠隔でも研修生それぞれのスケジュールを徹底管理することができます。
コンビニ業界では、教える側と教わる側が手を動かしながらの教育体制というのが主流でしたが、InstaVRのきめ細かい研修プログラムは、そのイメージを変え、今後さらに需要が高まっていくのではないでしょうか。

外国人材介護教育VRサービス「CareVR」の実態

日本では技能実習生や特定技能外国人などの受け入れが増え、今ではたくさんの外国人が日本の介護現場で活躍しています。
一方で、言葉の壁や文化の違いにより、外国人への介護教育は時間がかかることがネックになっています。また、日本式介護を教育するためには、正確な介護の知識と技術を身に付けることが必須なため、それらを教える講師の質のばらつきも課題となっています。
このような日本の介護教育の課題を解決することのできるサービスが「CareVR」です。CareVRは、外国人材や新人介護スタッフに日本の介護教育を効率良く提供するために開発されたVRトレーニングサービスです。

教科書や動画などとは異なり、現場にいる感覚で介護のリアルを体験できることが特徴です。

そこでは、介護の基本的な技術トレーニングをVRで繰り返し行うことが可能です。介護職員と利用者の両者の立場となり、現場での困難をどう解決していくかシチュエーションをイメージすることができるため、実践的な技術を学ぶことができます。
また、テキストや言葉だけでは見えにくいコミュニケーション能力が必要とされている介護現場ですが、CareVRでは、学習者本人が利用者と接しているかのように、コミュニケーションのポイントをおさえていくことができます。
介護現場特有の知識や技術を習得するためには、相当な時間が必要です。しかし、CareVRVRトレーニングサービスは、このように実践的かつ効率良く介護教育を提供することができるため、いち早く現場で活躍できる人材の育成が期待できます。

バーチャルで生産性向上を目指す

日本の働く現場での人材育成が課題となるなか、こうしたVRサービスの普及により、教える側の負担を減らし、教わる側の実践的な知識・技術習得が可能になっています。
バーチャル技術がもたらす影響は、結果的に日本企業の生産性向上に貢献していくと言えます。今後もさまざまな教育手法としてバーチャル技術が注目されていくでしょう。