【連載:SDGs】バーチャル・コンテンツで学ぶ森林破壊の現状と対策

森林の持続可能な管理や、陸上生態系の保護を促すための目標ですが、これらを実現するためには、現状の把握や森林破壊によるリスクを理解することが大切です。
森林破壊が進んでいる原因には、木材調達のための森林伐採や、気候変動による森林火災などが挙げられますが、今この瞬間にも森林がなくなっていることは、想像しにくいのではないでしょうか。
そこで今回は、バーチャル体験による森林保護への取り組みについて紹介し、普段多くの人が体験できないような、森林の価値をお届けします。

森林破壊の現状

ヨーロッパやアジアの一部の国では、森林面積が増加しています。積極的な植林活動や、サステナビリティ(Sustainability=持続可能性)への意識が定着しているためです。
日本の森林面積は国土面積の3分の2となっており、森林率は先進国の中で第2です。十分な降水量があるため、森林を増加しやすい風土にあることが関係しています。
しかし日本は、人工林や自然林がたくさんあるのにも関わらず、安価かつ大量に供給できる木材輸入に頼っています。その結果、自国の森林の手入れが十分にされず、荒廃していくという悪循環が生まれているのです。
ヨーロッパや日本を含む一部のアジアの国では、森林面積の減少は見られないものの、世界の森林面積は急速に減少し続けています。特に、深刻な問題とされているのは、南アメリカやアフリカなどの森林の減少です。世界の森林面積は全陸地面積の30%ほどを占めていますが、日本の国土の2.5倍ほどの森林が減少していると言われています。
このように地形や環境によって国の森林事情は異なりますが、世界全体では森林面積の減少により、生物多様性が失われている実情は人ごとではありません。

参考:環境省  森林と生きるhttps://www.env.go.jp/nature/shinrin/download/forest_pamph_2016.pdf

森林破壊のリスクを体験

国際環境団体NGOGreenpeaceアルゼンチンは、「The Background of the Problem」という森林破壊の画像をバーチャル背景に活用する取り組みを行っています。
森林を守るための保全環境に対する関心を高めるために、65日の世界環境デーに因んで、実施されました。
現在世界的に外出自粛が呼びかけられている間にも、森林破壊は進み、アルゼンチンでも首都ブエノスアイレスの面積の半分にあたる森林がここ最近で破壊されたと言われています。
Greenpeaceアルゼンチンは、この難しい状況を世界的に周知するために、森林破壊の背景画像を提供しています。より多くの人にビデオ通話やSNSにバーチャル背景として使ってもらうことを目的とした施策は、私たちが今すぐできる取り組みとしてもっとも身近で有効な方法です。
バーチャル背景を通した森林破壊の共有は、今後の森林保護への取り組みに必要な意識付けとなるでしょう。

知ることから始まるSDGs

年々環境問題が指摘される中、今、森林破壊の現状はとても深刻とされています。
森林の破壊により、人々や動物の暮らしにさまざまな悪影響をもたらしているためです。
そんな中、普段の生活ではあまり馴染みのない森林破壊の現状を、バーチャルを通して知ることが可能な新しい取り組みがあります。
今回紹介したUnder the CanopyThe Background of the Problemの活動は、森林破壊の現状やリスクをよりリアルに体験することができるほか、周りの人たちと問題を共有することに意義を与えます。

これらは森林破壊を身近な問題であると感じてもらうためのツールとして有効性を示しており、SDGsの重要性や具体的な対策のあり方について、バーチャルが貢献できると言えます。